阿部哲茂法律事務所 トピックス

法律の話題を載せております。

2020.03.03

【渡邊敬紘】

コラム

配偶者居住権とは

本年4月1日より,民法(債権法改正)が施行されますが,平成30年に改正された相続法のうちの一部の規定についても,同日から施行されることになっています。今回のコラムでは,その中でも配偶者居住権についてご説明します。

配偶者居住権とは,残された配偶者が,一定の事情が認められるときは,死別した配偶者とこれまで居住していた建物(居住建物といいます)に引き続き居住することのできる権利のことです。

これまでは,残された配偶者が,以前から居住していた建物に引き続き居住することを希望する場合,遺産分割協議において,居住していた建物の所有権を取得する必要がありました。しかし,この建物の評価額が高額となった場合,配偶者が他の遺産を十分に取得することができず,居住用の建物は取得したけれども生活費が不足するといった事態が起こることがありました。

また,こうした事態を避けるために,他の相続人に建物の所有権を取得してもらい,配偶者がこの相続人から建物を賃借するという方法をとることもあります。しかし,この方法は,所有者となる相続人が賃貸借契約の締結を承諾することが前提になりますので,賃貸借契約の締結を拒絶されてしまった場合,配偶者は,遺産分割が終了した後は,建物に住めなくなってしまいます。

このように,以前の民法では,配偶者の死亡によって,残された配偶者が引き続き同じ建物に住み続けることが困難になることがありました。そうした事態を避けるために,新たに新設された制度が配偶者居住権という制度になります。

配偶者居住権を取得するには,遺産分割による方法と遺贈による方法とがあり,期間も柔軟に定めることができます。

当事務所は相続に関する相談も承っておりますので,遺産分割や遺言についてお困りのことがございましたら,お気軽にご相談ください。

2020.02.28

【伊塚允耶】

コラム

コロナウイルスに伴う出勤停止

連日のように新型コロナウイルスの感染のニュースが出ております。
学校が急に休校となるなど,働く人々の生活に多大な影響を及ぼしており,社会経済に対しても甚大な被害をもたらすものとなっております。

このように,新型コロナウイルスは現時点では最も警戒すべきリスクの一つとなっており,
企業としても,新型コロナウイルスに対する予防として,発熱や咳のある従業員を一律で出勤停止を行うといった措置を講じていることもあるようです。

前回のコラムでも触れておりますが,法的な観点からは,従業員の出勤に関する権限は使用者にありますので,出社させない命令(休業命令)も出すことができます。
ただし,使用者側の責に帰すべき事由による休業の場合には平均賃金の60%以上の手当を支払わなければなりません(労働基準法26条)。

今回の新型コロナウイルスに関連した休業命令が使用者側の責めに帰すべき事由といえるかは諸般の事情を考慮することとなりますが,検討の要素として,新型インフルエンザに関する平成21年10月30日付厚生労働省発表が参考になるかと思われます。この発表では,

1 労働者が新型インフルエンザに感染し,医師によって休業するよう指導されている場合には,休業命令を発しても使用者側の事情による休業ではなく,休業手当を支払う必要はない

2 熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように,使用者の自主的な判断で休業させる場合は一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり,休業手当を支払う必要がある

3 感染者と近くで仕事をしていた労働者などの濃厚接触者でも,インフルエンザ様症状がない場合は職務の継続が可能となる。したがって,職務の継続が可能である労働者について,使用者の自主的判断で休業させる場合には,一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり,休業手当を支払う必要がある。

と記載されているところです。
したがって,当該発表を参考にするのであれば,新型コロナウイルスに感染したことが診断されている場合以外は休業手当を支払わなければならない,ということになります。
もっとも,新型インフルエンザと異なり,現時点では政府が積極的に感染防止をアナウンスしている状況ですので,上述2あるいは3のケースにおいても,使用者の責めに帰すべき事由に該当しないと解釈できる余地もあるところです。

いずれにせよ,未知のウイルスに対する火急の対応が求められておりますので,確度の高い情報を収集のうえ,ご対応ください。

2020.02.15

【大神亮輔】

コラム

従業員が感染症に罹患した場合

最近,新型コロナウイルスに関する報道が数多く見られます。
新型コロナウイルスに限らず,従業員が感染力が強い感染症に罹患した場合,雇用主としては,他の従業員への感染拡大を防止するために,当該従業員に対し自宅待機命令を発することが想定されます。

では,このような自宅待機命令を発した場合の賃金はどのように扱われるでしょうか。就業規則に定めがあるときは就業規則によるため,就業規則の定めがない場合を念頭に置きます。
基本的には,感染症に罹患したとの診察を受けた従業員を休業させることは,「使用者の責めに帰すべき事由による休業」(労基法26条)ではありませんので,休業手当の支払義務は生じません。
もっとも,新型コロナウイルスのように,感染症に罹患したとの確定診断を得るまでに時間がかかる場合には,疑わしい症状が出たことをもって自宅待機命令を課す場面も出てくると思います。この場合には,雇用主の経営判断による休業と評価されますので,平均賃金の60%以上の休業手当を支給する必要があります。

このほか,厚労省が定める指定感染症に罹患した場合や,従業員本人ではなく家族が感染した場合,従業員が濃厚接触者になった場合等,検討が必要になる場面が数多く出てきますので,対応にお困りの際はお気軽にご相談下さい。

2020.01.21

【渡邊 敬紘】

お知らせ

本年より入所致しました。

本年より当事務所に入所した弁護士の渡邊敬紘と申します。
幼少期より若松・折尾で生まれ育った北九州っ子で,予備校時代には西小倉に毎日通っておりました。この度,念願かなって地元である北九州で弁護士登録することができました。
1年目の新人弁護士ではありますが,新人ならではのフレッシュな視点を生かして,日々のご依頼に全力で取り組んで参りますので,皆様のご指導・ご鞭撻のほど,よろしくお願いいたします。

2020.01.06

【木村治枝】

コラム

道路交通法の改正について

 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いいたします。

 さて,令和元年12月1日に道路交通法が改正され,スマートフォンを使用しながら運転する等,いわゆる「ながら運転」が厳罰化されています。
 例えば,運転前にスマートフォンを通話のために使用し,又は画面を注視した場合の罰則については,「5万円以下の罰金」から「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」に刑が加重されました。さらに,スマートフォンを使用し又は画面を注視したことにより交通の危険を生じさせた場合には,「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」から「1年以下の懲役又は30万円の罰金」に刑が加重されました。

 また,このような刑事罰の厳罰化に加え,運転免許の違反点数も加重されています。

 このように厳罰化されていることもありますが,車の運転は,時には人を傷つけてしまう危険があります。交通事故を起こすことなく,安全な一年を過ごすためにも,スマートフォンを操作する際には,安全な場所に停車する等,安全運転を心がけることが必要です。

2019.12.25

【阿部哲茂】

お知らせ

年末年始のお休み

令和元年も残り少なくなってまいりました。
今年は,皆様にとってどのような年だったでしょうか?
ところで,当事務所は,12月30日(月)から1月5日(日)まで年末年始休業に入ります。
1月6日(月)からは通常どおり執務しておりますので,来年もよろしくお願いします。
それでは,皆様,健やかに年末年始をお過ごしください。

2019.11.23

【大神亮輔】

コラム

薬物事犯

最近,薬物事犯での逮捕に関する報道に接することが多くあります。
我々が取り扱う刑事弁護の案件でも,薬物事犯は比較的多い類型ですが,薬物をやめられず,何度も再犯を重ねてしまう人もいます。
薬物依存は「意志を強く持つ」だけではどうしようもない部分があり,治療や周囲の協力が不可欠となることもあります。
罪を犯した以上刑に服して償うことは当然ですが,再犯を防ぐことためにどのようなことをするか,という観点での検討も必要となります。

2019.10.28

【阿部哲茂】

コラム

民法相続法の改正(遺留分制度の見直し)

民法債権法分野の大改正があったことは既にお伝えしておりましたが,今度は相続法の改正の話です。
相続法の改正の1つに遺留分制度の見直しがあります。
すなわち,これまで「遺留分減殺請求権」というなじみのあった法律用語はなくなり「遺留分侵害額請求権」に変更されました。
 従前は,例えば相続財産が事業用財産であった場合などにおいて,遺留分の請求は金銭の請求ではなく,原則として事業用財産の共有を目的に請求するものでした。しかしながら,ほとんどの事案において,遺留分権利者が遺留分義務者から金銭を受領することで和解したり,判決となっても,遺留分義務者が遺留分権利者に対して一定の金銭を支払う旨の判決が出されることが圧倒的多数でした。そこで,その実情に合うように遺留分制度を見直し,遺留分権利は,遺留分義務者に対し,金銭請求しかできないように制度を変更したのです。
 同制度は,既に本年7月1日以降に遺言者が亡くなった場合に適用されることとなっています。
 その他,相続法に関しても今回様々な見直しがされています。当事務所は,企業法務だけでなく相続に関する相談も承っておりますので,お気軽にご相談ください。

2019.09.23

【伊塚允耶】

コラム

台風17号

昨晩,台風17号が九州北部に接近したことにより,本日の小倉の街は街路樹等の枝が散乱する等,台風の爪痕が如実に表れておりました。
台風の影響でエアコンの室外機が倒れたという事例が数多く報告されているようですが,自身で起こそうととすると室外機内にある冷媒と呼ばれるガスが噴射して怪我をする可能性があるそうなので,無理に自身で行わずにエアコンのメーカー等にご相談ください。
千葉ではいまだに停電が続くなど,今年は災害の影響が色濃く残っておりますので,日ごろの防災意識や事前の対策が重要だと改めて感じた次第です。

2019.08.31

【大神亮輔】

コラム

交通事故ゼミ

今年も,福岡県弁護士会北九州部会で若手有志が行う交通事故ゼミの講師を拝命しました。
全10回で,交通事故事件を対応する際に問題となり得る事項について,最新の裁判例の動向を確認するとともに,弁護士間で意見交換や議論ができる貴重な機会を得られます。
交通事故に関する案件は数多く扱っていますが,常に情報をアップデートしていくとともに,研鑽をつみ続けなければならないため,このような機会を有効に使い,依頼者の方々により良いリーガルサービスを提供できるよう努めたいと思います。
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