阿部哲茂法律事務所 トピックス

法律の話題を載せております。

2020.12.12

【大神亮輔】

コラム

裁判手続のIT化

新型コロナウイルスの流行の影響もあり,テレワークやウェブ会議など,直接人と会わない形での業務が浸透してきています。

裁判所でも,IT化の一端として,昨年から一部大規模庁において,裁判期日をウェブ会議で実施しています。また,今後,各地裁や支部においてもウェブ会議による期日運営が順次導入されることとなっています。
このほか,準備書面や証拠をデータでやり取りするなど,より迅速かつ充実した審理が行えるよう,制度の改善が進んでいくことが予定されています。

我々も,旧態依然のままでなく,見直すべきところは見直し,より良いリーガルサービスの提供に努めたいと思います。

2020.10.13

【阿部哲茂】

コラム

非正規格差に関する最高裁判断

 正社員に支給される退職金や賞与が非正規従業員(契約社員)に支給されないのは「不合理な格差」に当たるのかどうかが争われた,いわゆる「同一労働同一賃金」に関する2つの最高裁判決が10月13日に言い渡されました。
 原審である高裁は,退職金については4分の1,賞与については6割の支給を会社に命じていましたが,最高裁は,それらが支給されないことにつき「不合理な格差」とは言えないと判断し,非正規従業員側の請求を棄却しました。
 ただし,最高裁も一刀両断に非正規従業員に対し退職金や賞与を支給しなくてもよいと判示しているわけではなく,当該会社の個別事情によって判断すべきと判示していますので,会社側としては非正規従業員の待遇については今後も慎重な判断が必要となります。
 このような自社の非正規従業員に関する待遇等について不明な点がありましたら,当事務所にお気軽にご相談ください。

2020.10.02

【渡邊敬紘】

コラム

ハンコと裁判

最近,行政改革の一環として「脱ハンコ」が唱えられるようになっており,行政文書の9割以上で押印を廃止するという報道もなされています。

他方で,民事裁判では,ハンコの印影は極めて重要な役割を果たしています。
というのも,民事裁判では,本人の判子の印影と文書の印影が一致する場合には,本人が作成した文書として扱われることになっています。したがって,文書に判子が押されていることは,裁判で証拠として使用することを考えるのであれば,依然として重要な意味があるわけです。重要な契約書でハンコを押さなかったりすれば,裁判になった際に,偽造文書であるなどと主張されるリスクが生じてくるからです。

もっとも,現在では,クラウドサインなど電子署名のサービスの提供も増えつつあります。また,民事訴訟手続についても,まさにTeamsなどのソフトを用いたIT化も進行中です。IT化に即して「ハンコ」の役割が見直されるのも時間の問題なのかもしれません。

2020.09.14

【木村治枝】

コラム

経営承継円滑化の特例について

先日,「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「経営承継円滑化法」といいます。)の遺留分に関する民法の特例についてのご相談がありました。

経営承継円滑化法は,中小企業において経営の承継を円滑にすることができるよう税制支援,金融支援,遺留分に関する民法の特例等を定めた法律です。

このうち,遺留分に関する民法の特例を利用すると,後継者及び経営者の推定相続人の合意の上,現経営者から後継者に贈与等された自社株について,①遺留分算定基礎財産から除外したり,②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定したりすることが可能になります。
そして,このような特例を利用することにより,自社株を後継者にスムーズに承継できることが期待されます。

ただし,特例を利用するためには,経済産業大臣の確認や裁判所の許可を取得する等要件を満たすことが必要になります。また,同特例は,令和9年12月31日までの株式の譲渡にのみ適用され,また,令和5年3月31日までに「特例承継計画」という書類を作成・提出しなければならない等の期間制限がありますので,ご利用をご検討されている・興味をお持ちの方は,是非一度ご相談ください。

2020.09.04

【阿部哲茂】

お知らせ

9月7日(月)の業務について

当事務所は,台風10号の北部九州への接近に伴い,9月7日(月)は事務所を閉鎖いたします。
ご迷惑をお掛けしますが,ご了承ください。

2020.08.10

【伊塚允耶】

コラム

裁判における弁護士の業務について

皆様の中には,裁判と聞くとドラマであるような法廷で弁護士が当事者に質問をしているシーンを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかしながら,一般の民事訴訟においては,当事者に対する尋問を行う前に,原告と被告が法的な主張を戦わせて争点の絞り込みが行われます。
かかる工程は,主張書面とその反論書面という書面のやり取りで行われますので,この工程が民事訴訟の内容の大半を占めることになります。
したがって,弁護士の業務では,どれだけ裁判官に説得的な書面を作成するか,ということが最も大切になり,まさに腕の見せ所ということになるわけです。

そのため弊所では,当該書面に説得力を持たせるため,個々の事案の主張内容の精査はもちろんのこと,
裁判官が普段からなじみのある行政文書の書き方にならい,漢字の送り仮名,接続詞の使い方,「てにおは」の使い方などに至るまで,吟味検討を行うようにしております。

今後もより良い文章を書くことができるよう研鑽を積んでいきたいと考えております。

2020.07.18

【大神亮輔】

コラム

定期金賠償

交通事故で重度の後遺障害が残存したとき,症状固定後に必要となる将来介護費用や,後遺障害が残存したことによって収入減少が見込まれることに対する後遺症逸失利益を請求することが一般的です。
ほとんどの場合,これらは一時金で請求するのですが,一時金で請求する際,中間利息が控除されます。「中間利息控除」とは,非常にかいつまんで言うと,「5年後の100万円は今貰うといくらになるのか」という話なのですが,法定利率かつ複利で計算した割合を控除することになるので,大幅に目減りしていました。
この点に関し,先日,最高裁が,将来介護費・後遺症逸失利益について,一時金ではなく,毎月決まった金額を支払わせる,という定期金賠償を認める判決を下しました(令和2年7月9日判決)。今般の民法改正に伴い,法定利率が3%(変動制)となったため,控除される中間利息も減少することとなりますが,特に重度後遺障害が残存した場合においては,そもそも一時金で請求するのか,定期金で請求するのか,という点も検討する必要があることを明確に示したものと言えます。

交通事故に限らない話ですが,最新の判例も踏まえ,その時々で最善のリーガルサービスが提供できるよう努めていきたいと思います。

2020.06.16

【渡邊敬紘】

コラム

給料の前払いについて

昨今,「給料ファクタリング」や「給料前払いサービス」といった言葉を耳にする機会が増えたように思います。

 「給料ファクタリング」とは,業者が従業員から給料債権を額面より安く買い取ったうえ,給料日に給料が支払われると,従業員から額面どおりの給料を回収することをいいます。この「給料ファクタリング」については,金融庁から貸金業に該当するとの見解が表明されていますので,登録なく行うと刑事罰を科される可能性があります(貸金業法11条1項,同法47条2号)。
しかしながら,業者の中には,貸金業の登録を受けずに,数百から数千%もの法外な利息を手数料という名目で徴収する悪質なものも存在し,支払が滞ると,利用者どころか会社にまで取立ての電話をする例も生じているようです。

 こうした業者に対する対処法ですが,賃金は全額労働者に直接支払うことにされており(労働基準法24条1項),業者に対しては支払えませんので,断固とした態度で請求を拒絶することが重要です。

 他方で,「給料ファクタリング」と似て非なるものとして「給料前払いサービス」というサービスがあります。
 両者とも,給料日前に給料の支払いを受けられるという点で共通しています。しかし,「給料前払いサービス」の場合,サービス会社が使用者から委託を受け,使用者に代わって給料を立替払いし,後日,使用者に立替払金を請求する形になっています。このサービスについては,勤怠実績に応じた賃金相当額を上限とすることや,会社の支払能力を補完するために立替えを行っているわけではないことなど,一定の条件を満たす場合であれば,貸金業にあたらないという見解が金融庁から出されております。
 また,使用者がサービス会社を介して賃金を支払うことは,労基法24条1項の定める直接払いの原則との関係でも問題が生じる可能性があります。この点について,厚労省は,従業員がサービス会社から立替払いを受けるまで賃金債権が消滅しない場合には,同条に違反しないとの見解を発表しているところです。

 したがって,「給料前払いサービス」については,金融庁及び厚労省の通達を守る限りで,適法という扱いになります。もっとも,給料の支払義務を負うのは使用者ですので,サービス会社に対して,賃金の支払状況を確認するなどして,賃金の立替払いが適切になされるか把握しておく必要があります。

 昨今,Fintechの隆盛と共に,様々な業態のサービスが展開されていますが,給料の支払については,労基法や(場合によっては)貸金業法の規制が及ぶことに注意が必要です。

2020.06.01

【木村治枝】

コラム

特別定額給付金について

 先月,コロナウイルス感染症に伴う特別定額給付金の申請が開始されました。
 この特別定額給付金の給付金は,基準日である令和2年4月27日時点で,住民基本台帳に記録されている方に,1人当たり10万円給付されることとなっております(外国国籍の方も対象となります。)。
 そのため,同給付金の申請書は,住民票上の住所に送付されますが,DV被害がある場合等,特別な理由がある場合には,市役所等の相談コーナーに相談し,理由が認められれば,申出により申請書を交付してもらえるなど,配慮がされています。
 また,令和二年度特別定額給付金等にかかる差押さえ禁止等に関する法律により,同給付金については,差押えが禁止される差押禁止財産とされ,破産手続きにおいては換価の対象とされない自由財産に含まれる等の配慮もされているところです。
 
 精神的にも,経済的にも,苦しい状況が続いておりますが,収束すると信じ,できる限りの予防をしていきたいと思います。

2020.05.09

【伊塚允耶】

コラム

消滅時効について

コロナウイルスによる緊急事態宣言において,企業においても業務の縮小や停止を余儀なくされております。
このようなタイミングにおいて,民法が120年ぶりに大改正され今年の4月1日から施行されており,企業としてはかかる改正にも対応しなければなりません。
改正内容は多岐にわたりますが,企業による売掛金の管理については,改正民法がプラスの要素として働いております。
すなわち,従前の民法においては,売掛金を1年ないし3年間行使せずに放置していた場合には,時効により消滅してしまう危険性がありました。
例えば,工事の請負代金は3年,商品の売買代金は2年,飲食代金は1年というように消滅時効の期間が定められていました。
しかしながら,改正民法においては,このような区別を廃止し,原則として消滅時効の期間を5年とする改正がなされております。
したがって,原則として今年の4月1日以降に発生した債権については,債権の種類ごとの管理が不要となり,かつ,期間も5年となりますので,その意味においては,企業の債権管理は容易になるものと思われます。
(ただし,債権の発生が4月1日であっても,原因となる法律関係が4月1日より前の場合は旧民法が適用されますので注意が必要です。)

改正民法における消滅時効については一般論としては上記のとおりですが,不法行為に基づく損害賠償請求権などは時効の考え方が異なるため,ご不明な点がございましたら,弊所までご相談ください。
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