阿部哲茂法律事務所 トピックス

法律の話題を載せております。

2022.09.05

【渡邊敬紘】

コラム

三六協定について

労働基準法32条では、使用者は労働者を1日当たり8時間、1週間当たり40時間を超えて労働させてはならないとされています。仮に、この労働時間を超えて労働者を労働させる場合には、いわゆる「三六協定」を締結する必要があります。

「三六協定」を締結すれば、1か月当たり45時間、1年あたり360時間を上限として、労働者を労働させることができ、労働者に対して労働契約で定めた労働時間を超えて労働するよう命じることも可能になります。

もっとも、労働協約を締結するに当たっては、法律で定められた手続に即して行う必要があります。
すなわち、
① 事業場の過半数の労働者で組織されている労働組合があれば、その労働組合と締結する
② そのような労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と締結する
必要があります。

 なお、②の「代表者」は、管理監督者ではないこと、三六協定の代表者を選出することを明らかにして投票、挙手等の方法による手続で選出される必要があります。会社側が一方的に指名した従業員や、親睦団体の代表者などは、②の「代表者」に当たらないので、ご注意ください。

弊所では、こうした三六協定が関係する労働事件も取り扱っておりますので、ご不明な点がありましたら、弊所までご相談ください。

2022.08.01

【伊塚允耶】

コラム

遺言書保管制度について

2020年の7月から、全国の法務局で遺言書を保管する制度(自筆証書遺言書保管制度)が始まっております。

遺言書は、ご自身の手書きにより作成可能なものではあるものの、作成した遺言書の所在がわからなくなったり、他の第三者に隠蔽や改ざんされるおそれがありました。
当該制度の実施により、安価にこれらのデメリットを防止することができます。

もっとも、遺言書にて最も紛争となるのは、遺言作成者の意思能力がどの程度あったか、という点になりますので、
かかる問題を防止するのであれば、少々の費用は発生しますが、
自筆の遺言書ではなく、公正証書遺言を作成することをお勧めいたします。

2022.07.16

【大神亮輔】

コラム

電話での裁判手続

新型コロナウイルス感染症は、日常生活に様々な影響、変化を与えましたが、裁判手続にも色々な変化をもたらしました。

その一つに、調停や訴訟といった裁判手続について、双方とも電話会議の方法で行う、というものがあります。これは、特に調停においては非常にありがたい変化でした。
通常、調停は、両当事者が交互に調停委員がいる部屋に赴いて話をし、話をしていない当事者は控室で待機する、という形で進行します。調停には当事者も同席することが多く、控室にいる時間は当事者と協議する時間でもあるのですが、控室には他の事件の出席者もいるため、踏み込んだ話はなかなかしにくいです。また、別々に話をするとはいっても相手方も裁判所の同じ階にいるため、「会ってしまったらどうしよう」と不安になる当事者もいます。
電話会議の場合、当事務所の打合せ室で電話を受けるので、他者を気にすることなく打合せもできますし、相手方に会う心配もありません。遠隔地での調停の場合でも電話会議であれば現地に赴く必要がなくなる、という点も大きなメリットです。

感染対策はまだまだ予断を許しませんし、不便になった部分も非常に多いですが、このように良い変化をもたらしてくれたところもあります。

2022.06.13

【渡邊敬紘】

コラム

著作権とは

弁護士業務を日々行っていると、しばしば知的財産権の問題に遭遇することがあります。本コラムでは、知的財産権の一つである「著作権」について取り上げたいと思います。

著作権という権利は、思想又は感情を創作的に表現した方に、財産的な権利として与えられる権利の総称をいい、複製権(他人の複製を禁じる権利)や譲渡権(著作物の無断譲渡を禁じる権利)など、著作物の種類によって様々な権利が与えられます。

このような著作権の一つの特徴として、特許権などと違い、特許庁などの役所に登録や届出をしなくとも、権利が保障されることが挙げられます。そのため、何気なく使用していた画像データについて、突然著作権を主張される、という事態が発生するわけです。

したがって、企業間で取引を行う場合、著作権を行使されてビジネスに支障を来すことのないよう、著作権の譲渡契約やライセンス契約などの特約を結ぶということも少なくありません。

弊所では、著作権を中心に知的財産権のご相談についても受け付けておりますので、お困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度弊所までご相談ください。

2022.05.01

【阿部哲茂】

コラム

企業法務研究会

 令和の時代になっても法律の改正はとどまることをしりません。ザっと思いつくだけでも、パワハラ防止法、同一労働同一賃金法、高年法、個人情報保護法・・・等です。
 「法の無知を法は救済しない」という有名な法律の諺があります。つまり「そんな法律があるとは知らなかったから仕方ない。」では許されないということです。法律の改正に置き換えれば「○○法は知っていたけれど、そのように改正されているとは知らなかったから仕方ない。」という言い訳は通用しないということです。
 さて、当事務所では、事務所開設以来「企業法務研究会」を開催していますが、同研究会では、できるだけ皆様に法律の改正についても紹介し、それに伴う実務上の論点を提供しております。当事務所と顧問契約を締結されている企業の方に参加していただいておりますが、最近の法律の改正について不安のある企業の法務担当の方は、当事務所にご連絡ください。

2022.03.14

【渡邊敬紘】

コラム

掛取引と債権保全

 企業間の取引では,商品やサービスを先に取引先に納入し,その代金については翌月末に一括払いとする掛取引が頻繁に行われております。

 この「掛取引」ですが,法的には,売主側(サービス提供側)が,買主側(サービス受領側)に対して,代金の支払について「期限の利益」を与えていることになります。すなわち,本来,商品やサービスと同時に支払うべき代金について,翌月末まで支払わなくてよいという利益を与えている形になっています。

 このような掛取引は,取引先に十分な支払能力が残っている場合には,特段問題は生じませんが,財務体質が悪化して支払が停滞してきた際に問題を生じさせることがあります。このような場合には,速やかに債権回収に着手するべきですが,売掛金については,「期限の利益」のために直ちに債権回収に着手できないことになります。

 そこで,取引先との取引基本契約書には,「期限の利益喪失条項」を置くことが一般的です。これは,取引先の財務状態などが悪化して,翌月末までに売掛金が支払われない場合に速やかに債権回収に着手できるよう,取引先に与えた「期限の利益」を喪失させ,直ちに売掛金を請求できるようにするものです。

 その他にも,取引基本契約書には債権回収の場合に備えて様々な条項を置く必要があります。弊所では,取引基本契約書等のリーガルチェックも行っておりますので,ご不明な点がございましたら,弊所までご相談ください。

2022.02.21

【伊塚允耶】

コラム

電子帳簿保存法の改正

令和4年となって早くも2ヶ月が過ぎ,季節も一段と冷え込む時期になっております。
さて,令和4年1月1日より,ペーパレス化やキャッシュレス化などの流れを受けて,電子帳簿保存法が改正されております。
改正の概要としては,以下のとおりです。

①電磁的に作成した国税関係帳簿については,従前は事前に税務署長の承認が必要とされていましたが,原則として事前承認は不要とされました。
(優良な電子帳簿の要件を満たすかによって細目は異なります。)

②スキャナ保存の要件として,自署やタイムスタンプを求める箇所が緩和されました。


このように法律としてはペーパレス化を推進しようという方向性ではありますが,
まだまだ電子帳簿としての保存については税務署の取扱い等にバラつきがありますので,
詳細は税理士等とご相談のうえ,ご活用ください。

2021.12.25

【大神亮輔】

コラム

模擬裁判

先日,司法修習委員として修習生の模擬裁判のお手伝い,講評をさせていただきました。
同じ事案を扱っても,担当する修習生が変われば切り口が変わることもあり,「この点に着目するのか」という発見もあります。
尋問等の訴訟追行に関しては,弁護士に比べればたどたどしい部分もありましたが,一つの事案に真剣に取り組む姿勢は,「弁護士もこうあらねばならない」という思いを新たにさせてくれました。

2021.09.06

【阿部哲茂】

コラム

同一労働同一賃金について

本年4月1日から全ての事業主に対し,いわゆる「同一労働同一賃金」,具体的にはパート有期法8条,9条が適用されるようになりました。
「同一労働同一賃金」という言葉から「同一の仕事をしている従業員には同一の賃金を支払わなければならない」と誤解されがちですが,決してそんなことはありません。
正確に言えば,パート有期法が求めているのは,正社員と非正規社員の均等・均等待遇であり,両者間の労働条件の不合理な相違を禁止しているだけであって,決して上記のようなことが要求されているわけではありません(もちろん,条文上も「同一労働同一賃金」という文言はありませんので,どうして「同一労働同一賃金」と呼称されるのか不思議です。)。
これから「均等・均衡待遇」に関する重要な裁判例が続々出てくるものと思いますので,しっかりとフォローしていきます。

2021.08.12

【渡邊敬紘】

コラム

賃料滞納者への対応

最近は,副業として,マンションやアパートを賃貸して賃料収入を得るという方が増えてきているように思われます。

このような賃貸物件をご自身で管理する場合,最も悩ましい問題の一つが「賃料を滞納する入居者」ではないかと思います。とりわけ,長期間に渡って慢性的に滞納している入居者には,賃貸人の方が督促状を投函するだけでは何の改善もされないことが多いだろうと思われます。

このような長期滞納者に対しては,一般的には,弁護士名で請求書を送付して賃料の支払を催促し,それでも支払われなければ,訴訟を提起して建物の明渡しを命じる判決を得て,裁判所に建物の明渡しの執行を申し立てるという流れになります。

長期滞納者の場合,貸した部屋に大量のごみが放置されているなど,適切に管理されていないことも少なくありません。弊所では,こうした建物明渡しの事件も取り扱っておりますので,お困りの方はぜひ弊所まで一度ご相談ください。
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