阿部哲茂法律事務所 トピックス

法律の話題を載せております。

2022.12.22

【阿部 哲茂】

お知らせ

年末年始の休業

平素は大変お世話になっております。
皆様のおかげで、当事務所は、無事に新年を迎えられそうです。
さて、年末年始に当たり、12月29日(木)~1月9日(月)まで休業いたします。
新年は1月10日(火)から通常どおりとなりますので、よろしくお願いします。
それでは、皆様良い年をお迎えください。

2022.11.30

【渡邊敬紘】

コラム

住所等の秘匿について

 民事訴訟を提起する場合には、被告に対する請求の内容(請求の趣旨)や、そのような請求を基礎づける事実(請求の原因)を記載した訴状を作成して、裁判所に提出することになります。これに加えて、訴状を提出する際には、原告の郵便番号と電話番号を記載する必要があります(民事訴訟法133条2項2号、民事訴訟規則53条4項)。
 ところが、DV案件やわいせつ犯罪などの被害に遭われた方は、加害者に対し自分の現住所を知られたくないと考えるのが一般的と思われます。加害者に住所を知られてしまうと、加害者に付きまとわれたり、現住所まで押しかけてくるのではないかと懸念するのはごく自然のことといえます。そのため、被害者から加害者に対して損害賠償を請求する場合には、住所を記載せずに訴状を提出することを認めるという運用が認められてきました。もっとも、こうした裁判所の運用は民事訴訟法の法律上の規定に基づくものではありませんでした。
 令和4年5月18日、民事訴訟法の一部を改正する法律が成立しましたが、その改正内容の一つとして「被害者の氏名等を相手方に秘匿する制度」が新設されました(改正民事訴訟法133条)。この制度は、訴えの提起などの申立てをする者の住所が知られることで社会生活を営むのに著しい支障を生ずる恐れがある場合には、氏名等の情報を秘匿することができるという制度になります。この秘匿決定がされた場合には、訴訟記録に綴じられた記録であっても、氏名等の情報については閲覧できないことになります。
 このように、民事訴訟法の改正によって、これまでの住所を秘匿する運用に法律上の根拠が与えられることになりました。改正法は未施行ですが、今後どのように運用されていくのか注視していきたいと思います。

2022.10.27

【渡邊敬紘】

コラム

相続に関する民法改正について

 親族が亡くなった場合、遺産の分割についての調停を家庭裁判所に申し立てることがあります。この遺産分割の調停では、被相続人の看病を熱心に行ったり、家業を手伝って財産の維持に努めたことを寄与分として主張したり、被相続人から生前に贈与を受けたこと(特別受益)を主張して、それを踏まえた遺産分割を求めることが多くあります。
 これまで、こうした遺産分割の調停を申し立てる期限に制限はありませんでした。

 ところが、民法が改正されたことにより、令和5年(2023年)4月1日より、寄与分や特別受益を踏まえた遺産分割を希望する場合、被相続人が死亡してから10年以内に遺産分割を申し立てなければならない、とされました。
 この民法改正には5年の猶予期間が設けられていますが、被相続人の方が亡くなられてから、既に10年が経過している方の遺産分割については民法改正の影響を受けるので注意が必要です。

弊所では、こうした相続に関する業務も取り扱っていますので、ご不明な点がございましたら、弊所までお気軽にご相談ください。

2022.09.05

【渡邊敬紘】

コラム

三六協定について

労働基準法32条では、使用者は労働者を1日当たり8時間、1週間当たり40時間を超えて労働させてはならないとされています。仮に、この労働時間を超えて労働者を労働させる場合には、いわゆる「三六協定」を締結する必要があります。

「三六協定」を締結すれば、1か月当たり45時間、1年あたり360時間を上限として、労働者を労働させることができ、労働者に対して労働契約で定めた労働時間を超えて労働するよう命じることも可能になります。

もっとも、労働協約を締結するに当たっては、法律で定められた手続に即して行う必要があります。
すなわち、
① 事業場の過半数の労働者で組織されている労働組合があれば、その労働組合と締結する
② そのような労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と締結する
必要があります。

 なお、②の「代表者」は、管理監督者ではないこと、三六協定の代表者を選出することを明らかにして投票、挙手等の方法による手続で選出される必要があります。会社側が一方的に指名した従業員や、親睦団体の代表者などは、②の「代表者」に当たらないので、ご注意ください。

弊所では、こうした三六協定が関係する労働事件も取り扱っておりますので、ご不明な点がありましたら、弊所までご相談ください。

2022.08.02

【阿部哲茂】

お知らせ

お盆休みのお知らせ

暑中お見舞い申し上げます。

当事務所は、8月13日(土)から15日(月)までお盆休業となりますので、よろしくお願いします。
今年は例年になく暑い日が続いておりますので、皆様いつも以上にご自愛ください。

2022.08.01

【伊塚允耶】

コラム

遺言書保管制度について

2020年の7月から、全国の法務局で遺言書を保管する制度(自筆証書遺言書保管制度)が始まっております。

遺言書は、ご自身の手書きにより作成可能なものではあるものの、作成した遺言書の所在がわからなくなったり、他の第三者に隠蔽や改ざんされるおそれがありました。
当該制度の実施により、安価にこれらのデメリットを防止することができます。

もっとも、遺言書にて最も紛争となるのは、遺言作成者の意思能力がどの程度あったか、という点になりますので、
かかる問題を防止するのであれば、少々の費用は発生しますが、
自筆の遺言書ではなく、公正証書遺言を作成することをお勧めいたします。

2022.07.16

【大神亮輔】

コラム

電話での裁判手続

新型コロナウイルス感染症は、日常生活に様々な影響、変化を与えましたが、裁判手続にも色々な変化をもたらしました。

その一つに、調停や訴訟といった裁判手続について、双方とも電話会議の方法で行う、というものがあります。これは、特に調停においては非常にありがたい変化でした。
通常、調停は、両当事者が交互に調停委員がいる部屋に赴いて話をし、話をしていない当事者は控室で待機する、という形で進行します。調停には当事者も同席することが多く、控室にいる時間は当事者と協議する時間でもあるのですが、控室には他の事件の出席者もいるため、踏み込んだ話はなかなかしにくいです。また、別々に話をするとはいっても相手方も裁判所の同じ階にいるため、「会ってしまったらどうしよう」と不安になる当事者もいます。
電話会議の場合、当事務所の打合せ室で電話を受けるので、他者を気にすることなく打合せもできますし、相手方に会う心配もありません。遠隔地での調停の場合でも電話会議であれば現地に赴く必要がなくなる、という点も大きなメリットです。

感染対策はまだまだ予断を許しませんし、不便になった部分も非常に多いですが、このように良い変化をもたらしてくれたところもあります。

2022.06.13

【渡邊敬紘】

コラム

著作権とは

弁護士業務を日々行っていると、しばしば知的財産権の問題に遭遇することがあります。本コラムでは、知的財産権の一つである「著作権」について取り上げたいと思います。

著作権という権利は、思想又は感情を創作的に表現した方に、財産的な権利として与えられる権利の総称をいい、複製権(他人の複製を禁じる権利)や譲渡権(著作物の無断譲渡を禁じる権利)など、著作物の種類によって様々な権利が与えられます。

このような著作権の一つの特徴として、特許権などと違い、特許庁などの役所に登録や届出をしなくとも、権利が保障されることが挙げられます。そのため、何気なく使用していた画像データについて、突然著作権を主張される、という事態が発生するわけです。

したがって、企業間で取引を行う場合、著作権を行使されてビジネスに支障を来すことのないよう、著作権の譲渡契約やライセンス契約などの特約を結ぶということも少なくありません。

弊所では、著作権を中心に知的財産権のご相談についても受け付けておりますので、お困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度弊所までご相談ください。

2022.05.01

【阿部哲茂】

コラム

企業法務研究会

 令和の時代になっても法律の改正はとどまることをしりません。ザっと思いつくだけでも、パワハラ防止法、同一労働同一賃金法、高年法、個人情報保護法・・・等です。
 「法の無知を法は救済しない」という有名な法律の諺があります。つまり「そんな法律があるとは知らなかったから仕方ない。」では許されないということです。法律の改正に置き換えれば「○○法は知っていたけれど、そのように改正されているとは知らなかったから仕方ない。」という言い訳は通用しないということです。
 さて、当事務所では、事務所開設以来「企業法務研究会」を開催していますが、同研究会では、できるだけ皆様に法律の改正についても紹介し、それに伴う実務上の論点を提供しております。当事務所と顧問契約を締結されている企業の方に参加していただいておりますが、最近の法律の改正について不安のある企業の法務担当の方は、当事務所にご連絡ください。

2022.03.14

【渡邊敬紘】

コラム

掛取引と債権保全

 企業間の取引では,商品やサービスを先に取引先に納入し,その代金については翌月末に一括払いとする掛取引が頻繁に行われております。

 この「掛取引」ですが,法的には,売主側(サービス提供側)が,買主側(サービス受領側)に対して,代金の支払について「期限の利益」を与えていることになります。すなわち,本来,商品やサービスと同時に支払うべき代金について,翌月末まで支払わなくてよいという利益を与えている形になっています。

 このような掛取引は,取引先に十分な支払能力が残っている場合には,特段問題は生じませんが,財務体質が悪化して支払が停滞してきた際に問題を生じさせることがあります。このような場合には,速やかに債権回収に着手するべきですが,売掛金については,「期限の利益」のために直ちに債権回収に着手できないことになります。

 そこで,取引先との取引基本契約書には,「期限の利益喪失条項」を置くことが一般的です。これは,取引先の財務状態などが悪化して,翌月末までに売掛金が支払われない場合に速やかに債権回収に着手できるよう,取引先に与えた「期限の利益」を喪失させ,直ちに売掛金を請求できるようにするものです。

 その他にも,取引基本契約書には債権回収の場合に備えて様々な条項を置く必要があります。弊所では,取引基本契約書等のリーガルチェックも行っておりますので,ご不明な点がございましたら,弊所までご相談ください。

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